 車中泊は夜中にやってきた車の明かりが気になって熟睡とはいかなかったが、いつの間にか朝になった。車から出たら外は寒い。この寒さじゃ紅葉もアッと言う間なんだろうなあ。今日は山々の装いを一日充分に堪能しよう。 まだ体が眠っているのか食欲がないので、朝食抜きで６時半に歩き出す。ヒュッテの脇を登っていくとナナカマドの大木が紅葉していた。 すぐに樹林に入り苔むした薄暗い斜面を登っていくと丸山へ出た。しばし食事を兼ねて休憩。うん？先ほども水を飲みながらなにか口にしたなあ。もう二度目の食事だ。お湯を沸かすのは止めておこう。  丸山山頂で単独行氏を撮ってあげる。「おおっ、○○○のデジカメだ！」 お店で見掛けた時は大きさがどうなんだろう？と思ったが手に馴染んで良い感触だ。ちょっとデジカメ談議。単独行氏は最近の購入だそうで今回初めて山に持参したとか……嬉しそうに話していた。天気も気が揉めるがカメラも気が揉める(^^;高見石へは下り道を十数分。高見石小屋の裏手の高見石に登る。雲海に浮かぶ周囲の山々と眼下の白駒池が素晴らしい。 妻がウン十年前と同じ場所で写真を撮りたいと言い出した……変貌したお姿を同じ場所で撮ることもないと思うのだが、本人のたっての希望なのでおざなりにシャッターを押した(^^; 関西訛りの女性が「今日はどちらまで？」と尋ねてきた。「天狗岳まで行って戻ってくるのです」と答えたら「あらっ、私達も天狗岳よ」とのこと。でも、彼女達はその周辺でお泊まりの様子。のんびりと山談議をしているわけにもいかない。名残惜しいが中山を目指そう。  １時間ちょっとの登りで広い展望台に着いた。ゴロゴロとした岩の上を歩いて先端へ。いやあ、良い眺め！これから登る天狗岳が大きい。雲海の上にはアルプスの山々のオンパレード。急坂を下ると森が明るくなってきて景色が一変した。この辺りが中山展望台？針葉樹林の中に赤や黄色の落葉樹が美しい。 天狗岳の下にはたくさんの人がくつろいでいるのが見える。 ちょっと下ると中山峠。東天狗もだいぶ近くなってきた。フーフー言いながら岩礫の急登を頑張ると東天狗山頂だ。さすが人気の山、大勢の登山者が休んでいた。 すばやく記念写真を撮ってしばし休憩。赤岳が近いなあ。あそこはいつ歩けるかなあ。  風が冷たいので休憩もそこそこに西天狗へ。こちらは人の数もまばら。妻が眼下に根石山荘を見つけて、「あそこに泊まって朝日を見に根石岳に登った」とか過去の記憶を蘇らせている。いつまでも景色を堪能していたいのだが、日暮れまでには麦草峠に帰らなくてはならない。名残は尽きないが下山としよう。 東天狗へ登り返しての下山、同じ道もつまらないかと黒百合平方面へ。岩がゴロゴロ、天狗の奥庭とはよく言ったものだ。 黒百合ヒュッテではテントを張っている人が何人かいた。天気がくずれそうだが明日のテントの撤収はたいへんだろうなあ。  中山峠へ出て人気のなくなった道をニュウ方面へ。ニュウまでは比較的歩きやすい道で一安心。下山時間を気にしながら急ぎ足でニュウにたどり着いたらとうとう雨が本格的になってきた。 ザックを置いてニュウへ一登り。天狗岳方面、白駒池方面の展望をあわただしく確認。ここでレインウエアを着用して白駒池への道を下った。  滑りやすい道をしばらく下っていくと白駒池へたどり着いた。池の周囲のダケカンバやサラサドウダン、ナナカマドが綺麗に色付いている。朝、高見石から見下ろした風景とはちょっと雰囲気が違う夕暮れの静かな佇まいだ。何枚かシャッターを押したが暗すぎるようだ。肉眼でしっかり眺めておこう。 暗くなった樹林の中を麦草峠へ。麦草ヒュッテにも明かりが灯っている。 ヒュッテの上の東屋で懐中電灯を取り出し、残り少くなった水を沸かしてコーヒータイム。時刻は５時半、朝から良く歩いたものだ。インスタントコーヒーの味も格別だ。 駐車場へたどり着いたら小屋泊まりや車中泊の車が何台か停まっていた。明日は天気がイマイチの様子で気の毒だ。 小降りになった雨の中、帰り支度をして車の運転。９時半前には家に着けて満足の土日であった。しかし、疲れた。月曜も休みなのがとても嬉しい。 |
